言いにくい、食べにくい、行きづらいなど、「〜にくい」「〜づらい」は、日常でよく使われる表現です。
しかし、間違えやすい言葉でもあります。どちらも「困難である状況」を表す言葉には変わりありませんが、使い方は場面によって少し違います。
乱暴にわけてしまうと
・「づらい」は自分の意思が関係あること
と言えるでしょう。
例を挙げながら、詳しく紹介します。
「にくい」と「づらい」の違い
にくい=難い/づらい=辛い
ふたつの言葉を漢字で書くと、より違いが浮き上がってきます。
「〜づらい」の漢字は「辛い」
「難(にく)い」は字の通り、するのが難しいという意味です。
「辛(づら)い」は、するのが難しいというよりも、精神的にきつい、苦しいという意味があります。
「にくい」「づらい」から深読みできる言葉
どちらでもしっくりくる言葉の場合、発言した人の意図を正確に読み取ることができます。
誰かが「食べにくい」と言えば骨が多くて食べるのが大変だったり、麺がちぎれて上手にすすれなかったり、そんな場面を想像できます。
「食べづらい」と言えば、ダイエット中なのにケーキを食べることに罪悪感がある、周りの人はコーヒーだけなのにひとりだけ食べるのは気が引ける、などの状況が浮かぶでしょう。
言いにくい/言いづらい
馴染みのない国、異国語の長い地名は「言いにくい」ですね。発音が難しい、覚えられないなど、自分の意思の問題というよりも、それ以外の問題があります。
一方、ちょっと卑猥な言葉。人によっては「言いづらい」となります。発音はできるけど言いたくない、言うのをためらう、といったところです。
やりにくい/やりづらい
厚手のぶかぶかの服を着て運動するのは「やりにくい」ですね。体を動かすのが大変です。
運動を「やりづらい」という場合はどうでしょう。
周りに人がたくさんいて人目が気になる、この前は運動嫌いと言ったのに今更やるのは気が引ける、などの精神的に困難だなと感じている場合です。
飲みにくい/飲みづらい
沸騰直後のお湯はとても熱くて「飲みにくい」。
では「飲みづらい」状況は……?
みんながお酒を飲めないのに、ひとりだけ「飲んでいいよ」と言われたとき、でしょうか。なかなかに気まずいですね。
「にくい」しか使わない言葉の例
気付きにくい
物陰に隠れていれば「気づきにくい」。
「気付きづらい」は……使う機会がなさそうですね。気づくことをはばかられる、なんて心境はあまり想像できません。
破れにくい
破れにくい服、紙、素材。いろいろと連想できます。しかし、「破れづらい」とは?敗れるのが辛い、という言い回しはなさそうです。
「破りづらい」の場合は、思い入れがあるメモを破れない!などの意味で使うことができますね。
他にも壊れにくい、聞こえにくいなども同じ。自分が直接行動する以外は、「にくい」のみを使います。
「ずらい」ではない
「〜づらい」は先程も書いたように「辛(つら)い」という意味なので、「ず」ではなく「づ」を使います。
難(がた)い
「にくい」「づらい」と同じような意味で「がた(難)い」という言葉もあります。
動詞の連用形に付いて、その動作をすること、その状態であることが困難である意を示す
『広辞苑』第六版 岩波書店
とありますが、ほかの「にくい」「づらい」との違いがよくわかりません。
そこで見つけたのがこの記事です
「にくい」「つらい」「がたい」の違いについて – 旅する応用言語学
記事によると、「がたい」は書き言葉。実現することが難しく、めったにないという意味があるそうです。
・信じがたい事実
・理解しがたい意見
などと使います。
まとめ
「にくい」「づらい」「がたい」3つを使いわけるイメージができたでしょうか?
実は筆者、つい最近までこれらがごっちゃになっていました。反省します。
とくに「にくい」「づらい」は意味が変わるので、文章や発言で出てきた場合、どんな意図が隠れているかを読み解くヒントになりますね。
「食べづらい」って言った!そうなのね、ふーん。と、深読みしてみましょう。
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ここまで読んでくれたあなた、好きです!!ありがとうございました。
参考・参照
「にくい」「つらい」「がたい」の違いについて – 旅する応用言語学
「~にくい」と「~づらい」 – 日本語センター
「~づらい」(×「~ずらい」)と「~にくい」の違いは | 毎日ことば