「刺さる(言葉)」という表現がこんなにもメジャーになったのは、いつ頃からでしょうか。
以前は「胸に刺さる」「心の奥にグサっと刺さる」など、何かしらの言葉の後に続けて使っていた気がします。
今では刺さるキャッチフレーズ、刺さる文章、読み手に刺さる広告などなど、さまざまなシーンで使われるフレーズです。
巷にあふれる「刺さる」とは何なのか、考えてみました。
ハード・衝撃・戦いの世を連想させる言葉「刺さる」
単語「刺さる」は、言葉の中でも強い部類に入ります。刺す、刺される、刺し傷……いずれにせよ血がしたたり落ちてくるような、痛々しい場面が想像できますね。
妙齢男女の痴情のもつれとか、武士同士の負けられない戦いとか、アンディ・フグとか?そんな連想が止まりません。
だからこそ、それだけ相手の心に爪痕を残す!グッと入り込むという印象に直結して、使いやすい言葉なのでしょう。
でも正直「刺さる」って、痛くないですか?ダイレクトすぎてちょっと「うっ」ってなりませんか?
勢いがよすぎる気がして、最近は使うのに尻込みしてしまうんです。
ふわっとしつつ淫靡な妄想を煽る言葉「なでる」「くすぐる」
一方で「なでる」「くすぐる」。この響きはどうですか、平和このうえなしではありませんか!
ソフトタッチで優しい雰囲気があるものの、ポイントはエロチックな響きをもっている点です。
炊き立てごはんの匂いが鼻をくすぐったり、ぬるい春風が頬をなでたり。平和ながらも、柔らかい部分にふんわりと忍び寄る感じがありませんか。あるんです(独断)。
しかし、インパクトが薄い?フックが弱い??印象に残らない???
確かにそれは一理ありますね。でも、どちらかと言えばエロスを内包している言葉、筆者は大好物です!
結局どちらも使いやすい言葉
あ、どうしよう。落としどころがわからなくなってしまいました……。
「刺さる」は便利だけれど、使いすぎると効力は薄れます。刺さる!マジ刺さるそれ!!うっわ刺さる!!!連発するほど、うさんくささは増大しますので気を付けましょう。
「なでる」「くすぐる」は、頻繁に使うと変態さんになってしまいます。こちらも注意したいところですね。
今、刺激に慣れてしまった私たちに必要なのは、優しくて包容力のある言葉ではないでしょうか?
刺さる言葉もいいけれど、なでる言葉も時には使いましょう。なにより自分が優しい気持ちになれるからおすすめですよ。