あれ……語彙力が足りない……
いざ文章を書き始めたものの「また同じような言い回しをしているな」と筆者が感じるのは、毎度のこと。ライター・編集者を名乗っているクセに、けしからん?すみません。
そんな自称ライターの筆者が生き延びている理由のひとつが、手元にある「辞典」たちの存在です。
辞典は語彙の少なさを補強してくれるだけではありません。表現の幅を広げてくれたり、ヒントを与えてくれたり、ときにはネタまで提供してくれたり。
幾度となく助けられ、励まされ、背中を押され、すっかり惚れ込んでしまった大好きな「辞典」たちを紹介させてください。
※ちなみに……辞典と辞書はほぼ同じ意味。「辞典」を調べると辞書と書かれ、「辞書」を調べると辞典と記載がありました。
使用頻度No.1「類語国語辞典」
あなたなしでは生きるのがツラい!
それほど頼りきっているのが「類語国語辞典」。同じような言い回ししかできない、語彙力の足りない筆者にとにかく優しくて、とても重宝している辞典です。
「類語国語辞典」では、同じような意味の言葉がグループ化され、ズラリと表記されています。
ベーシックな言葉ほど、言い換えるのが難しかったり、しっくりこなかったりすること、ありますよね。困ったときには迷わず開き、ヒントを探し出しています。
「好き」ってなんだ?「ぽかぽかする」を知的に書くにはどうすればいいんだ?そんな答えもするっと教えてくれるのが「類語国語辞典」。言葉の持つ意味の奥深さを存分字味わえる一冊です。
大好きです。
こんな場面で役立つ「類語国語辞典」
✓意味を変えずに違う言い回しにしたいとき
✓言葉の意味をもっと深く理解したいとき
✓一言でキメる言葉を探しているとき
✓媒体に合わせた表現を探しているとき
✓キャッチコピーや見出し、タイトル付けで迷ったとき
✓コンセプトやテーマを作るとき
「類語国語辞典」のポイント
●新しい発見がある
カテゴリごとに言葉が並んでいるので、自然に近くの言葉が目に入り、いろいろな発見につながります。
●大枠の意味を見て「はっ」とすることがある
よく理解している言葉でも、改めて意味を読むと「そういえばそうか」「なるほど」と、新たに気付かされたり、再認識したりすることがあります。
●カテゴリ分けが絶妙
大雑把すぎず細か過ぎず、ちょうどいい具合のグループ分けです。
●情報量がちょうどいい
ひとつの言葉に対して、知りたいことがサクっとわかるさじ加減。大事なことはすぐ分かるけど細かすぎない、いい塩梅です。
●発見したとき気持ちいい
「そうそう、これがあった!」という言葉を発見できたときの興奮はかなりのもの。
●紙の触り心地がいい
THE辞典、な薄いけどすべすべして丈夫な紙、たまらん!
●表紙が丈夫で頼もしい
少し厚めの紙で、ガシガシ使ってもへこたれない頼もしさと安心感があります。
●WEBの無料のものより詳しいので使いやすい
無料で使えるWEBサービス「類語辞典・シソーラス・対義語 – Weblio辞典」は、いつでもどこでも使えるので便利。ですが言葉の細かいニュアンスまでは調べるなら、紙の辞典か有料辞典アプリがよさそうです。
「類語国語辞典」の使い方
1)あいうえお順の「索引」から、調べたい単語を探す
2)表記されたページで単語を探す
3)お目当ての類語の項目を読む
※「類語国語辞典」は使い方が難しいって本当?
ページの上下に数字があり、下はページ数、上は索引で使う番号が書かれています。
調べたい単語を「まずは索引で探す」→「書かれたページに行く」という二段階の手順があるので、慣れるまではちょっとややこしいかもしれません。筆者は使ううちに慣れ、気にならなくなりました。
その他の情報
厚さ:約44mm
ページ数:1,309ページ
右綴じ
●公式ページ「「類語国語辞典」 大野 晋[辞書・事典] – KADOKAWA」
自信がないならスグ調べよう「てにをは辞典」
ここは「を」なのか「が」なのか、いやいや「は」か「に」か?でもこの単語だとやっぱり「て」が正解か?
考えるほどに深みにハマり、よくわからなくなることありませんか。私はしょっちゅうです。
WEB記事の場合は、専門の校正者や編集者がいないことも多いので、不安なところはひとまず調べてるのがおすすめ。
迷子になったとき救いの手を差し伸べてくれる、それが「てにをは辞典」です。ありがとうございます!
こんな場面で役立つ「てにをは辞典」
✓「てにをは」「が」「に」「の」など正しいものがわからなくなったとき
✓普段とは違う言い回しをしたいけど不安なとき
✓違う表現を探したいとき
「てにをは辞典」のポイント
●あるだけで心強い
「あれ?」ひっかかったらすぐ調べる、急がば回れです。信頼できる校正者がいないとき、ほぼ修正変更なしで原稿が掲載されるような場合にとても助かります。
●「その表現があったか!」と発見がある
目当ての言葉を調べるだけで終わらないのが、紙の辞典のいいところ。今まであまり使わなかった単語や、いい表現を発見することも多いです。まったく関係ない言葉にヒントをもらえることもありますよ。
●装丁がかわいい
明朝体でウェイトが太いフォントを使用し、バーン!と文字が刻まれている……国語系の辞典は、そんなイメージの表紙が多い気がします。「てにをは辞典」はかわいらしくて細いフォント、表紙の色も白くてスタイリッシュ。紙のカバーは像のイラストで、よくよく見ると言葉がびっしり書かれています。
「てにをは辞典」の使い方
普通の辞典と同様、あいうえお順に並んだ単語から調べます。
その他の情報
厚さ:約36mm
内容:1,799ページ
右綴じ
●公式ページ「てにをは辞典 – 三省堂WORD-WISE WEB」
イメージを膨ませてくれる「てにをは連想表現辞典」
「てにをは辞典」が好きで、思わず買ってしまったのが「てにをは連想表現辞典」です。
言葉からインスピレーションを膨らますために使います。作家たち400人の著書から抜粋した「文例」が豊富に掲載されており、読むだけでも楽しいんですよ。
誰もが知っている某有名なキャッチコピーの中にも「あ、この人絶対に『てにをは連想語辞典』見て思いついたな」というのがありました。そんな発見ができるのも、楽しいんです。
こんな場面で役立つ「てにをは連想表現辞典」
✓キャッチコピーなど使いたい言葉からイメージを膨らませたいとき
✓どんな表現方法があるのか知りたいとき
✓アイデアや書き方に行き詰まったとき
✓なにかヒントが欲しいとき
「てにをは連想辞典」のポイント
●作家たちの表現に圧倒される
「この言葉をこんなに美しく使えるのか」「こんなに生々しい表現があるのか」と、驚きと感動の嵐。そして自分の貧相さに打ちのめされてしまいます。
●行き詰まったときにヒントが見つかる(かもしれない)
なにかのヒントを見つけたいとき、眺めるだけでも刺激になります。
●類語辞典のリッチ版
似た意味の言葉でまとまっているので、類語辞典にも近いです。どんな表現にするか迷ったら、きっと役に立ちますよ。
●装丁がかわいい
「てにをは辞典」同様、装丁がかわいらしいのも特徴。
「てにをは連想表現辞典」の使い方
大きく分けてふたつの使い方があります。
使い方1)「目次」で大まかな意味を探し、そこから単語と例文を探す方法。例えば「挨拶する・祝う」という意味の言葉と例文を調べるなら、目次を利用します。
使い方2)単語から探す方法。「索引」で調べたい単語を探し出します。その単語を使った文例がたくさん掲載されています。
その他情報
厚さ:約35mm
内容:1,309ページ
右綴じ
●公式ページ「てにをは連想表現辞典 – 三省堂WORD-WISE WEB」
効果的なフレーズを作りたいときに「反対語対照語辞典」
ある言葉の反対の意味の単語を知りたいときに使います。
キャチコピーを作るときなどは、あえて逆の単語を組み合わせるとインパクトが生まれます。鮮やかな対比があることで、目立たせたい単語や意味が際立つ効果がありますよね。
あまり出番は多くないのですが、持っていると便利です。
「なるほど、反対語はこれなのね!」と納得するものあり、
「え、これが反対語なの!?」と驚くものあり、
言葉の世界はどこまでも奥深いな、と痛感させられます。
こんな場面で役立つ「反対語対照語辞典」
✓キャッチコピーやタイトルなどを考えるとき
✓対比を強調させたいとき
✓単調な文に強弱を付けたいとき
「反対語対照語辞典」のポイント
●反対語は意外と使える
反対語は、一方の語の意味を強めるために、かなり使える言葉です。とくにキャッチコピーやタイトルなどにはインパクトを出せるので有効。どんどん使いましょう。
●意外な言葉が反対語だったりする
調べてみると、なるほどと感心したり、そうなの?と驚いたり、他の辞典と同様いろいろな発見があります。
「反対語対照語辞典」の使い方
通常の辞典と同じ。あいうえお順に並んでいる中から、単語を探します。
その他の情報
厚さ:約24mm
内容:621ページ
右綴じ
●公式ページ「活用自在 反対語対照語辞典 – 柏書房」
これさえあれば今からラッパー「日本語逆引き辞典」
キャッチコピーや見出しなどの作成テクニックのひとつに「韻を踏む」があります。
そう、ラッパーがリリックを刻むように、あなたがガーリックをかじるように、多様に、確かに、使える単語を調べられる、それが「日本語逆引き辞典」だyo!なお、筆者にはラップのセンスがなかった模様!!
韻を踏むとは、語尾をあわせたり、母音を合わせたりしてリズミカルにすること。それを簡単にしてしまうのが「日本語逆引き辞典」です。
逆引き辞典の「逆」とは、語尾のこと。単語の語尾から言葉を探し出すために使用します。
例えば「ま」で調べる場合。最初は「ま」の真、麻、磨、魔などが表記されており、次は語尾が「あま」になる単語「尼」「海女」「すあま」「パーマ」など、続いて「いま」……となります。
この辞典がおもしろいのは、単純に語尾だけ同じで、まったく意味の似通っていない単語がズラリと並ぶところ。
キャッチコピーやネーミングに行き詰まったとき眺めると、ヒントが転がっていることが多いです。
こんな場面で役立つ「日本語逆引き辞典」
✓言葉の語尾を揃えたいとき
✓文字の響きで単語を探したいとき
✓頭をリフレッシュさせたいとき
✓なんとなくスッキリしたいとき
「日本語逆引き辞典」のポイント
●言葉の意味は載っていない
言葉の意味はまったく載っておらず、ひたすら単語がズラリと並んでいます。
●紙が少し厚い
通常の辞典よりも紙が厚めです。だからどうだということもないのですが……。
●左綴じ 横書き
横書き・左綴じなので、最初ちょっと戸惑います。が、すぐに慣れます。
●そんなに出番は多くない
個人的にこの辞典に頼ることはあまり多くありません。しかし、違った視点が欲しいとき、なにか新しい発見がほしいとき、気分転換にも使えます。実用的というよりは、ネタ帳のようなイメージかもしれません。
その他の情報
厚さ:約32mm
内容:689ページ
左綴じ
●公式ページ「日本語逆引き辞典 – 株式会社大修館書店」
ちょっとマニアックで使える辞典5冊
意味から探せる「故事ことわざ・四字熟語 使いさばき辞典」
この辞典はあいうえお順でなく、人の感情・行動・様子・社会などの項目ごとに別れています。
「こんな気持のときにはどんなことわざがあるかな?」「この行動をバシッと表す慣用句ってなんだっけ…」などの疑問が浮かんだときに、すぐに該当のことわざや慣用句、四字熟語が探せる仕組みです。意味から目当てのものに辿り着けるのが嬉しいところ。
キャッチコピーやコンセプトづくり、見出し文などを作成するときに役立っています。
用例の漫画が良すぎる「擬音語・擬態語辞典」
キャッチコピーやチラシの文言、短くキャッチーな言葉が必要なときに便利です。
共感を得たいとき、より身近でイキイキとした表現を使いたいとき、オノマトペは効果的。文章の雰囲気を作ったりもり立てたりする役割もあります。
用例に登場する、たくさんの漫画も楽しみのひとつです。文庫本サイズなので、読み物としてもおすすめ。
●公式ページ「『擬音語・擬態語辞典』(山口 仲美) – 講談社BOOK倶楽部」
苦手だからこそ持っていたい「カタカナ語辞典」
カタカナ語が苦手すぎて、思わず買ってしまいました。少しでも身近にあれば慣れるかな?と思って。
あまり使いませんが、国語辞典には微妙に載っていないカタカナ語や、意味があやふやな言葉を調べるときに便利です。
●公式ページ「コンサイスカタカナ語辞典 第5版 – 三省堂WORD-WISE WEB」
言葉のグラデーションに浸る「日本語 語感の辞典」
同じ意味を持つのに微妙にニュアンスの違う言葉、漢字とひらがなでは印象が変わる言葉。日本語はこんなに繊細で、豊かな表現があるのかと思わず読みふけってしまう辞典です。
和風のパンフレットやチラシ、高級感を出したい文言に使える言葉がたくさん。「なんかこれ、違う?」という小さな違和感に気づいたら、手にとってみてください。
●公式ページ「日本語 語感の辞典 – 岩波書店」
「美しい日本語の辞典」
まったく風流じゃない筆者が、優雅な文章や表現を求められたときに使う辞典です。何かを調べるというよりは、パラパラとめくって言葉と出会うイメージに近いかもしれません。
●公式ページ「美しい日本語の辞典 | 小学館」
答えはここにある!ライター必須の辞典2冊
かなり頼もしい相棒「記者ハンドブック」
ライターの仕事をするなら、持っておいた方がいい1冊。普通はどの漢字を使うんだ?と迷ったときには、必ずこの「記者ハンドブック」を開いて確かめましょう。
●公式ページ「記者ハンドブック 第13版 | 出版目録 | 株式会社共同通信社」
基礎を勉強「日本語表記ルールブック」
こちらも一度は読んでおくとよい一冊。主に紙媒体の原稿を書いたり、編集の仕事をしたりするのに役立ちます。
ガチガチに縛られる必要はないと思いますが、困った時や迷ったときには頼りになります。とくに記述記号の項目は知らないことだらけで勉強になりました。
〔〕←これの名称は亀甲!こんな(いらない?)知識も身につきますよ。
●公式ページ「『日本語表記ルールブック 第2版』詳細」
ほとんどの人には不要な愛すべき辞典
大人のたしなみ「官能小説用語表現辞典」
完全に趣味で買いました。
あいうえお順ではありません。「女性器」「男性器」「声」「オノマトペ」「絶頂表現」の5分類で成り立っています。
性にまつわる言葉がこんなにも豊富にあるなんて、さすがはHENTAI大国日本ですね。先人たちの想像力の豊かさには、驚くばかり。用例文献一覧の、ズラリと並んだ官能小説のタイトルを眺めるのも一興です。
持っているだけ、見るだけでドキドキできる、唯一無二の素晴らしい辞典です!好き!!
まとめ
以上13冊、すぐにでも使える辞典、暇なときにパラパラめくりたい辞典、一生使わなそうな辞典、いろいろ紹介してみました。
分厚い辞典は、傍らにあるだけで頼もしい存在。お目当ての情報が得られなくても、隣り合った単語や目に飛び込んできた言葉が、思わぬヒントを与えてくれるものです。役立つ上に、手触りもいい、匂いもいい。素晴らしいですね。
気になる辞典を手にとってみて、使いやすいかどうかを確かめてみてください。あなたのお気に入りの一冊が見つかりますように!
ここまで読んでくれたあなた、大好きです!!