人間の負の感情を塊にしたような男が主人公の話。
とことんまでダメな男、でも、なぜか愛すべき男の私小説的物語です。
誰もが持つ“心の醜さ”
どうしようもなく落ち込んだ時に自分よりもダメな人を見ると、
まだ大丈夫かも、マシかも、
そう感じて元気になったりしませんか?
自分よりダメな人
自分より運の悪い人
自分より性格の悪い人
比較しても意味はないし、どっちが上も下もない。
そんな理屈を頭ではわかっているけど
自分より下を見つけると安心する感覚。
身に覚えがある人も多いはず。
そんなことに気付くと同時に、
人をランク付けするなんて最低!という事実にも気が付いて
なんでこんなに嫌な奴なんだ、自分……なんて落ち込んだりして。
そんな時もありますよね。
さて、そんなみなさんに朗報です!
我々のレベルを遥かに超える“嫌な奴”に出会える本、それが
『ぼくのともだち』 著:エマニュエル ボーヴ です。
ここまで嫌な奴、人生で出会ったことない!
オサレなパリっ子が愛だの恋だのモナムール~
な内容とはかなり一線を画しております。
もーねーーーーー!
とにかく主人公が本当に本当に嫌な奴で、
絶対に友だちになりたくないタイプなんです。
ひねくれていて卑屈なくせに友人を見下して、
変なところに難癖をつけ、
そして優越感に浸るという最低な男。
こいつより自分、断然イイ奴!
となること必至です。
もうね、自信を持って言えます。
どんな理由をつけても覆せない程、完璧に嫌な奴。
対して自分の嫌な奴っぷりなんて、鼻で笑っちゃう程度。
あれ、なんだか心が軽くなってる……!
なのに憎めないってどういうこと!?
けれども、なんだか時々彼の心情が理解できちゃったりして
ちょっとその気持ちわかる的な部分があったりして
最終的に、憎めなくなってくる不思議な話なんですね。
太宰治を読んでると、「こいつ本当にダメだなー」と感じると同時に
その弱~い、へなちょこな心、人には言えないけどわかるわ……
となる感覚に近いかもしれません。
読者それぞれ、こっそり「あるある」ポイントが出てくるんです。
絶対に口外はしませんけど。
今までになかったタイプの不思議な世界観。
ぜひみなさんも味わってみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
それでは、また。泥ぬマコでしたー。