「お仕事は何を?」
「新聞記者です」
って、ものすごくカッコイイ。本当にカッコイイ。何ならちょっと惚れちゃう。
そのくらいの威力があります、個人的に。
新聞記者といえば、頭がよくて、賢くて、しっかりしていて、「デスク!」なんて言いながらスクープ取ってくる感じありますよね?
しっかりした文章が苦手な私としては、ものすごく光り輝いて見える存在なのです。
そんな憧れの存在である新聞記者さんとお近づきになれたので、ここぞとばかりにお話を聞いてきました。
というのも、なんと「泥ぬマコを新聞記事にしてくれる」というので、記者さんとお会いすることになったんです。
冒頭の写真は新聞記者の高橋さんと、酔っぱらった勢いでいつの間にか買っていたラクダのお面を被った筆者。
せっかくなので被りものを持参しましたが、新聞掲載は案の定NGと言われました。ですから無難に後ろ姿で掲載されています。残念。
もったいないので、これでお話をお聞きしました。
「サツタン」「デスク」? 新聞社の用語解説
おつきあいしていただいたのは南海日日新聞、編集局報道部の高橋祐紀子さん。
担当されているのは宇検村と医療・福祉関係、そしてシニア面です。
(注:実は高橋さん、この春に旦那さんの都合で引っ越しされまして、今は奄美大島にいらっしゃいません。お話は2016年2月当時のものになります。)
新聞社を舞台にした漫画やドラマなんかだと、新聞業界の用語がよく出てきますよね。
今回お話しを聞いている最中にも、耳慣れない言葉が登場しました。それは「サツタン」。
「サツタン」とは「察担」=警察担当という意味。警察が扱う事件などの記事を担当する記者のことです。
日常会話ではまず耳にすることのない単語、サツタン。いつか事件現場に遭遇したら、大きな声で「……サツタンはまだかっ!?」と叫んでみましょう。
警察か新聞かの関係者っぽく振る舞えますよ、多分。
そしてそして、新聞業界の気になる言葉と言えば、「デスク」ですよね。
デスクって偉いの?
リーダーなの??
給料高いの???
「デスクは、文字通り『机』に貼りついてる人ですね。副部長や部長クラスのベテラン記者がデスクとなります。記者があちこち取材に行って書いた記事をチェックし、紙面を制作する編集部に回す役割を担っています」と教えてくれました。
「デスクには各分野の経験が求められます。記者の記事をまとめ、日々の取材活動の司令塔となります。記者が書いた記事の、どれをトップにするかなどを編集部と話し合って決める人でもあるんです」というわけで、やっぱり普通の記者よりは格上の存在みたい。
おまけに「デスクになるまでは会社の外で取材に駆け回っていた方々が、デスクになったとたんに社内にいなければならないので、ストレスもあるようですよ」とも。重要な分、大変なお仕事のようです。
読者に不快感? を与えない新聞表記
高橋さんの定時は10時~19時。ただ、定時はあってないようなもので、担当によっては朝早く、夜遅いなど、業務時間はまちまちだとか。
事件担当の記者は、火事や大きな事故が起きれば、夜中に出動することもあるようです。
記者たちは朝の会議でその日に出稿できそうなネタやイベント情報を共有して、それぞれ取材へ。夕方には社に戻りその日、もしくは後日に記事を書きます。取材件数はバラバラで、多ければ4件ほど。
奄美大島ではアポなしで「こんにちは、新聞ですー」とフレンドリーな様子で取材することも多いんだとか。
保育園のクリスマス会やご高齢の方のグラウンドゴルフ大会の様子など、地元紙ならではのほっこりネタもたくさんあるそうです。
ここでふと、みなさんも気になったアレを(勝手に)大便……いや代弁してみましたよ!
「新聞記者さんって、毎日毎日まじめな記事を書かなきゃいけないじゃないですか? たまに『ムキーーーーーっ』ってなって、『うんこ』とか書きたくなったりしないんですか?」
「いやいやないですよ」
「あ、『うんこ』って書いちゃだめなんですよね。でも『うんち』ならいいんですか?」
「いやーーーーだめ……じゃないですか」
「でも、『赤ちゃんのうんちが付いたオムツが……』とか書くときどうするんですか?」
「そんな機会はあまりないと思いますけど、あったとしても避けて、違う表現にしますね」
と、うんこうんこ言うこちらの質問にプロの解答!
そうかそうか、ふさわしくない言葉は他の表現に変える技術と知識があるんですよね。さすが新聞記者さんです。カッコイイ!!
(なんなんだこの人……という心の声が聞こえてきそう。ちなみにこの日が初対面だったりします。高橋さん、ありがとうございます!)
馬のマッサージ機! おもしろ取材・珍取材
高橋さんは大学卒業後の1年間、人材派遣会社で働き、「そうだ京都へ行こう」と思い立ち京都へ移住。新聞社に入社して経済担当になったそうです。なんとも変わったお人です……。
もう10年ちかく記者生活を送ってきた中で、印象に残っているネタを聞いてみました。
「大阪で経済担当していた時、ちょうどリーマンショックがあって。あの時は本当に周りがみんながっくりというか、真っ暗というか、ものすごい落ち込み様でしたね。
それから、とある不祥事があって謝罪した企業があったんです。その後、『もう我が社はきちんとします!』というようなコンプライアンスを作ったので取材しました。そしたら、その後またやらかしちゃって、せっかく取材したのに……というか、その体制を見抜けないままに取材してしまい、悔しい思いをしたこともありました。
あと、東大阪の中小企業の担当をしていたんですけど、その時に『馬のマッサージ器』を作る会社がありましたよ。競走馬に使うらしくて、1機30万円位だったかな?
奄美では、巨大ウナギが獲れました、という連絡が入り取材に行ってみると、1.2~1.3mで10kg超えのウナギで。ものすごく大きかったですね。
ほかにも、家の庭に月下美人が咲いたから来てください!とか。それで次の日、新聞を見た方が『私の家にも咲いているから来てください』という電話が何件も入り、丁重にお断りするなんてこともありました」
やはり新聞記者さん、おもしろいネタが次々と飛び出します。毎日いろんな場所に行って、知らないことに触れるってものすごく楽しそうですよね。
長年の夢だった輪転機見学がついに実現!?
そして最後に、またひとつお願いしてみることに。
またお願いかよ!とも思いますが “人間図々しく行かないともったいない”と、最近開き直ってきました。
お願いとは「輪転機が動いているところを見たい!」というものです。
小学生の頃、2時間ドラマが大好きだった私。
土曜ワイド劇場、火曜サスペンス、水曜ミステリー……あの頃の2時間ドラマは、ちょっと映像がザラザラしていて、大抵女の人のおっぱいが出てきて、やたら妖艶で怪しくて、しかもドロドロ。いろんな意味でドキドキがとまらなかったのを覚えています。
そんなドラマで殺人が起こると、次に出てくるのがあの映像。
ババババババババババ!と輪転機で新聞が印刷されているのを背景にして、「○○教授殺害される」「恨みによる犯行か?」などの文字がクルクル回転しながらだんだん飛びすように大きくなってくる、例の映像です。
あれを間近で見たい!とお願いしてみました。
「輪転機が回るのは夜中の2時くらいからなんですが……、本土在住の方向けに発行している日々のニュースをまとめたタブロイド紙『月間奄美』は、月に1度、お昼に印刷しますよ。それを見学します?」
という返事が!
行きます行きます絶対に行きます!
というわけで後日、南海日日新聞本社にお邪魔してきました。が、それはまた次の記事でご紹介します。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
それでは、また。泥ぬマコでしたー。